コラム

封虎:生成AI越境使用・利用について

2025-07-10
著作者:封 虎   校閲者:杜雲華
Q:5月28日、「AI推進法」が国会で可決・成立しました。これは、日本が本腰を入れてAI研究開発および利用に取り掛かることを意味し、今後、あらゆる領域で関連業務が盛んになると予測されます。このような動向の中で、山東省日系企業も、日本国内からの指示または要請で、研究開発、応用研究もしくは活用の場面に直面する可能性があります。このようなの業務は、中国で規制されるでしょうか。
 
A:除外規定があります。具体的に以下の通りです。
2023年8月15日施行の「生成AIサービス管理暫行弁法」(以下は弁法という)は、適用対象外の場合を定めています。

1.生成AI技術を利用し、中国国内の公衆に向けてテキスト、画像、音声、動画等コンテンツを生成するサービスを提供する場合、弁法は適用する(弁法第2条第1項)。
【コメント】適用範囲についての内容です。逆にいえば、中国国内の公衆に対して提供しない場合は、適用しないということになります。

2.生成AI技術を研究開発、応用する業界組織、企業、教育と科学研究機構、公共文化機構、関連専門機構等は、国内公衆に生成AIサービスを提供しない場合、弁法は適用しない(弁法第2条第3項)。
【コメント】主体について業界組織や企業等、業務場面について研究開発や応用を列挙し、適用しない主体および業務場面を詳細化しました。

3.生成AIサービス提供者は、APIを通して生成AIサービスを提供する組織、個人を含む(弁法第22条第2号)。
【コメント】実務では、公衆に向けての直接提供以外に、API(Application Programming Interface)を通して間接的に提供する方法もあります。
以上をまとめると、企業等主体が、研究開発や応用等の目的で、生成AI技術を利用し、中国国内公衆に向けてサービスを提供しない(APIを通す間接的提供を含む)場合は、規制されないということになります。